※対談では、アクリル板を設置するなど、ウイルス感染症への対策を徹底し、撮影時のみマスクを外しています。
第2回目の地味弁対談では、地味弁の意外なメリット、
そして、地味弁を通してできる食育について話していただきました。
栗原心平さんは2021年夏より、子ども向けオンライン料理教室をスタート。
和田明日香さんは食育インストラクターの資格を持ち、各地で講演などを開催。
料理家として、子育てをしている親として、
おふたりとも共通して関心が高いテーマが「食育」です。
料理家。会社の経営に携わる一方、幼い頃から得意だった料理の腕を活かし、料理家としてテレビや雑誌、YouTubeなど幅広く活躍。料理番組「男子ごはん」(テレビ東京系列)や公式YouTube「ごちそうさまチャンネル」(2021年8月現在 フォロワー15.2万人)が好評。『おいしい酒肴(おつまみ)は白飯にも合う。』(平凡社)、『栗原心平のごちそうキャンプ』(小学館) など著書多数。また、2021年夏より子供向けオンライン料理教室「ごちそうさまクッキングスクール」がスタート。子どもの創造性や計画性、忍耐といった人生を生き抜く力を養うべく、「誰もが当たり前に料理ができる文化」の創造を目指している。
料理家、食育インストラクター。料理愛好家・平野レミの次男と結婚後、修業を重ね、食育インストラクターの資格を取得。テレビや雑誌、書籍などでのオリジナルレシピの紹介、企業へのレシピ提供など料理家としての活動の他、各地での講演会、コラム執筆、CMやドラマ出演など幅広く活躍。3児の母で、2018年にはベストマザー賞を受賞。著書に『10年かかって地味ごはん。』(主婦の友社)、『和田明日香のほったらかしレシピ』、『和田明日香のほったらかしレシピ 献立編』(ともにタツミムック)、『子どもは相棒 悩まない子育て』(ぴあ)などがある。
地味弁ならではの良いところは?
栗原心平さん(以降、栗原):お弁当作りは面倒なイメージがあるかもしれないけれど、地味弁は品数が少なくてもいいから、料理が苦手な大人はもちろん、子どもが自分で料理を作れるようになるチャンスにもなりますよね。パターン化するかもしれないけれど、たとえば「白いご飯と焼き鳥と漬け物だけでもいいよ」と言って、ひとりで最後までお弁当を作ってもらう。これでもいいんだと子ども自身も許容されるし、お弁当として充分成立しますから。
和田明日香さん(以降、和田):確かに地味弁なら子どもも作りやすそう。
栗原:僕は小学校5年生の頃、塾の夏期講習があって、初めて自分でお弁当を作ったんです。全然メニューは覚えていないけれど、レタスとハムを巻いて串に刺したりしていたかな?母のお弁当はリアル地味弁でしたが、自分で作ることに憧れがあったのかもしれないです。冷ましている最中、お弁当を見た親父が「本当にお前が作ったのか?」と言ってくれたんですよ。あまり褒める人じゃなかったので、うれしくて印象に残っています。地味弁は子どもが料理を始める、いいきっかけになるんじゃないかと思います。
ところで、おふたりが食育を意識するようになったきっかけは?
和田:料理の仕事を始めるにあたって何か資格を取ろうと思ったとき、「食育インストラクター」というものがあるのを知りました。最初は軽い気持ちだったんですが、勉強してみると、栄養バランスや食べさせ方だけじゃなくて、今の子どもたちの食環境も知ることができるのが面白くて、どんどん興味が深まっていった感じです。
栗原:僕は子どもが生まれたのがきっかけですね。僕の食育という言葉に対する考え方は、食べ物のことを知るのはもちろん、自分で料理を作れるようになるのが前提です。僕自身、小さい頃から親の料理の手伝いをしていたのですが、手伝うことで親がめちゃくちゃハッピーだったろうなと思うんです。実際、僕も今、子どもにちょっと手伝ってもらうと助かるし、ハッピーになるので。大根おろし当番、米洗い当番など、役割を決めると子どもに責任感も芽生えます。もっと子どもが料理をする家庭が増え、家族みんなでハッピーになったらいいなと思っているんです。
和田:私も子どもと一緒に料理をすることがありますが、簡単なことからでも、まずは経験させることが大事ですよね。自分でやり方を見つけられるように、あまり口出ししすぎず、見守るようにしています。
栗原:最近、子ども向けのオンライン料理教室を始めたんです。料理の仕事では、子ども用、大人用とレシピを分けて考えますが、実際に家で作るときは違いますよね。だから、1つのレシピで親も子どもも満足できる、誰も我慢しないメニューを目指しています。
地味弁を通してできる食育とは?
和田:お弁当作り全般に言えることですが、子どもに苦手なものをどうやって食べてもらえるかの工夫が大事ですよね。家ではこちらの声がけでちょっと食べてくれるけれど、お弁当は親がいないところで食べるから全部残して帰ってくる。うちの末っ子は肉が苦手なのですが、きのこが大好きだから、ある日、鶏そぼろにきのこを半分入れて「これは、きのこそぼろだよ」と言って持たせたら、きれいに食べてくれました。好きな食材を活かした地味弁ですが、それ以来、家でもそうやって出しています(笑)
栗原:肉が苦手だと大変ですね。
和田:そうなんですよ。魚は何でも大丈夫なんですけど。
栗原:僕は今までお弁当作りでうまくいったなと思ったことは1回もないです。子どもは残さず食べてくれましたけど、毎回「もっとこうすればよかったな」と反省します。子どもが幼稚園の頃、お弁当にチャーハンを入れたことがあったんですが、パラパラのご飯を子どもがうまくすくえなくて、先生に「パラパラにしないでください」と怒られたことがありました(笑)
和田:パラパラチャーハン、おいしいですけどね(笑)
栗原:お弁当ってイチから作ると思うとしんどいですよね。だから、地味弁でも前日の夕飯を少しアレンジして入れるくらいでもいいんじゃないでしょうか。親が手抜きしているのがバレないよう、いかに子どもに感じさせないかがポイントだと思います。地味弁作りは、工夫次第で子どもの食育やお弁当作りも応援してくれますね。