料理家・栗原はるみの長男であり、株式会社ゆとりの空間の代表取締役社長。会社の経営に携わる一方、幼い頃から得意だった料理の腕を活かし、自身も料理家としてテレビや雑誌などを中心に活躍。仕事で訪れる全国各地のおいしい料理やお酒をヒントに、ご飯のおかずやおつまみなどのレシピを提案。2012年8月より、人気料理番組「男子ごはん」(テレビ東京系列)にレギュラー出演中。著書に『男子ごはんの本』(KADOKAWA)、『栗原心平のたまごはん』(山と渓谷社)、『酒と料理と人情と。青森編』(主婦と生活社)、『栗原心平のこべんとう』(山と渓谷社)、『栗原心平のとっておき「パパごはん」』(講談社)がある。
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子どもの頃はどんなお弁当を作ってもらいましたか?
幼稚園はお弁当だったのですが、あまり覚えていないけれど、子どもながらに「茶色いな」と思っていましたね。
肉じゃがや煮ものが入っていて、まさに地味弁だった気がします。中学と高校は食堂があったので、ほとんど食堂で食べていました。
母も仕事をしていたし、僕が部活でかなり朝が早かったこともあり、お弁当を持っていく機会は少なかったです。
そのなかで印象に残っている母の弁当は、ご飯とおかかのしょうゆ漬けを交互に詰める「のり段々」。おかずは、ちくわの磯辺揚げ、から揚げ、しょうが焼きといったオーソドックスなものが多かったですね。
自分でお弁当を作るときに心がけていたことは?
結婚後、息子のために2年間、お弁当を作っていました。作りはじめたきっかけは、なんとなく(笑)。仕事柄、試作や撮影で残った食材を利用して仕込めるので、段取りを考えると僕が作った方がいいかなと思ったんです。
今回レシピを紹介した「さばそぼろ」は子どもも好きで、お弁当によく入れていました。その他に定番はハンバーグや卵焼き。
息子はきゅうりが好きなので、ちくわきゅうりやきゅうりの漬けものも多かったですね。
子どもにお弁当を作るときは、栄養面に気をつけて野菜と肉をバランスよく入れ、ご飯がおいしく食べられるような味つけを意識していました。
今は息子が給食になったので、試作などで食材が残ったときには、自分のためにお弁当を作って食べています。
お弁当作りに欠かせないテクニックやポイントは?
お弁当は、どうしてもおかず同士が隣接しますよね。僕は盛りつけでバランやシリコンカップはあまり使いたくないんです。
だからメニューを考えるときは、そのおかずがくっついても大丈夫かどうかを念頭に置いて組み合わせを決めています。
味が移ったら嫌だなと思うものは避ける。この考え方は地味弁にも活用できます。
今回紹介したオムライス弁当は、オムライスに合わせてピーマンの肉詰めはケチャップソースだし、しょうが焼き弁当のポテトサラダとアスパラソテーの間には風味が移ってもよいレモンスライスを入れています。
地味弁を作るときは、おかずは2色くらいにして整然と盛りつけると決まりやすいです。
メニューは主菜と副菜が1品ずつでも、自分がそのお弁当をおいしく食べきれるかどうかで考えるといいと思います。
「もう1品作らなくちゃ」、「彩りを足さないと」などいろいろ考え出すと、品数がどんどん増えてしまうので。ご飯と焼き鮭と漬けものだっていいんです。最低限のおかずで満足できるかどうかが地味弁作りの最大のポイントですね。
お弁当のご飯はバリエーションをつけるのが難しいですが、僕がたまにやるのはご飯のサンドイッチ。浅めの弁当箱にご飯、ツナ、ほぐした焼き鮭、昆布のつくだ煮などを交互に詰めて層を作ります。
スプーンですくうと2種類くらいの具材が混ざっておいしいんです。味がバッティングしないように組み合わせは気をつけます。これはご飯が主役なので、おかずも少し添えるだけで充分です。
自分や家族のためのお弁当作りをしている方へ
楽しみながら続けるために大切なことを教えてください。
お弁当生活を続けるうえで大切なのは、肩肘張って「こうしなければいけない」と思わないことです。以前、うちの会社の男性社員がお弁当を隠しながら食べていたことがあって「なんで?」と聞いたら、ご飯とウインナーと卵焼きしか入っていなかったから、恥ずかしかったみたいなんです。
でも、それも立派なお弁当ですよね。手の込んだものではなく、鮭を焼くだけだっていいし、前日のおかずを少し取っておいて入れてもいい。レパートリーを増やさなくても、自分だけのスペシャルなおかずを1つ決めて、そればっかり作り続けてもいいと思いますよ。
最近は料理をする男性も増えていますし、女性だけでなく、ぜひ男性にもお弁当作りにチャレンジしてもらいたいですね。
お子さんのためにお弁当を作っているお母さんは、毎日大変だと思います。子どものお弁当作りで大事なのは、「子どもに合わせすぎないこと」ですね。親が「ちゃんとしたものを作らないといけない」と思うと、どんどん“映え”を意識するようになってしまいます。
忙しい朝に見栄えのよいお弁当を作り続けるのはしんどいですよね。お弁当は他人の目を気にせず、好きなものを作るのが一番です。
そういった意味でも、映えを意識していない地味弁は、無理なく楽に続けるのにぴったりだと思います。